入院の確率が意外に高い理由

「万が一の入院」

おそらくあなたが考えていたよりもはるかに高い確率に違いない。テレビのCMなどでは「万が一の入院」という言葉を使っていたりするが、そんな甘いものではない。万が一とは1万分に1、つまり確率0.01パーセントの出来事を指す。実際の入院確率はそれよりも桁外れに高いわけだ。医療保険に入っておいたほうがいいというのは、まんざら脅かしではないかもしれない。しかし、あまり不安を抱くのもよろしくない。少し詳しく見ていくことにしよう。


「三大疾病」

医療保険における三大疾病とは、がん、急性心筋梗塞、脳溢血に限定されていることだ。本来ならば心臓病全般と高血圧、動脈硬化等も三大疾病に含まれてしかるべきだが、そうはなっていない。心臓病は急性心筋梗塞のみ。高血圧や動脈硬化は対象外である。もしも三大疾病保険への加入を検討していたら、この辺のことは十分に確認を取っておいたほうがいい。すべての病気・ケガに対応できる一般的な医療保険では、すべての入院をカバーできるが、日数制限はさらに厳しくなる。


「一般病床」

しかし、結論を急いではいけない。なぜなら入院と一口に言っても、中身はいろいろだからである。とくに重要なのは、「一般病床」に入院するのかどうかという点である。これは第4章でもっと詳しく説明するが、われわれが普通の病気やケガで入院する場合、通常は一般病床と呼ばれるベッドに入院する。病院のベッドには、他に「精神病床」や「療養病床」といったものがある。精神病床はその名のとり、精神疾患患者のみを入院させる病床、療養病床は長期療養やリハビリが必要な患者を入院させる病床だ。

[入院の確率]

「意外と簡単に知ることができる」

保険会社はさまざまな統計データをもとに保険に必要な確率を計算しているのだが、実はその元ネタがある。保険会社は厚生労働省の統計データなどをもとに計算を行っているのである。医療保険でもっともよく使われるのが厚生労働省の「患者調査」と呼ばれるもので、これは3年ごとに行われている。これを使えば病気ごと、年齢ごとの入院回数や平均入院日数を知ることができる。次に重要なのが同じく厚生労働省の「病院報告」。こちらは毎年行われており、とくに3年に1回、大規模な調査が実施される。


「死亡保険など」

また死亡保険などで重要になるのが「生命表」「人口動態調査」などである。平均寿命や各年齢の生存率、死亡率などを知ることができる。それらのデータは本になって売られている。政府刊行物サービスセンターをはじめ、全国の大きな書店で取り扱っている。注文すればすぐに手に入るはずだ。また厚生労働省のウェブサイトには一般的な表計算ソフトで読める形でデータが公開されている。わざわざお金をかけなくても、これなら誰でも簡単に目にすることができる。


「生保レディ」

しかし幸いなことに、私はこれらの統計数字には慣れ親しんでいる。というのも私は長年にわたってそれらの数字を使い、医学系の学会に何度も学会発表や論文発表を行ってきたからである。しかも現在はこれらの統計を使って政府や民間企業からの委託研究なども行っている。実際、私が生保レディと会って話をし、直感的に何かおかしいと感じたのは、普段からこういうデータに親しんできたおかげであった。だから、読者に代わってその数字を読み解いていこうと考えたわけだ。

複雑怪奇な特約の仕組み

「特約」

「特約」はオプションなのでつけてもつけなくてもいい。主契約の保障内容だけでは不安と思えばつければいいし、それで十分と思えばつけなければいい。不安だけれどお金も大事だという人は、主契約だけで我慢するしかない。最初から不安でない人は、もちろん医療保険には入らないでしょう。外資系の医療保険は構成がシンプルで、用意されている特約の種類も限られている。普通の医療保険にがん特約を組み込むとか、長期入院特約を組み込むとか、その程度である。


「アメリカンファミリー」

アメリカンファミリーの「21世紀がん保険」はその名のとおり、普通のがん保険である。この保険に加入した場合、がんになた時に限り給付金が受けられる。しかしこれに「特約MAX21・介護プラス」という、通常の医療保険とほぼ同じ内容のものを組み込むことが出来る。つまり普通の医療保険とがん特約の関係が、完全に逆になった商品ということになる。この特約では、所定の要介護状態になった時に100万円の介護一時金を受けることができる。「21世紀がん保険」に組み込める特約はこの1種類だけだ。


「生きるチカラEX」

対照的に国内生保はきめ細かく特約を用意しているところが多い。また、とくに老舗生保は医療保険にはあまり力を入れていない。代わりに従来の死亡保険に医療特約をつけた商品を主力に据える戦略を採っている。しかも医療特約の種類を増やすなどしているため、なかには一般消費者の理解を超えてしまっている商品もある。その最たるものが日本生命の「生きるチカラEX」である。日生の主力商品だ。


「保険機能」

これはテレビのCMなどを見ても、何を目的とした保険なのかちょっと分かりにくい。なぜならこの保険の主契約が、額面わずか10万円の終身死亡保険である。仮に「生きるチカラEX」の主契約しか結ばなかったとすると、死亡時に10万円の保険金がもらえるだけだ。普通の消費者はそういう変則的な保険だとは思っていない。だから説明を聞いても分かりにくいのである。「生きるチカラEX」にまともな保険機能を持たせるためには、さまざまな特約を追加する必要がある。

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